
インフィニティQ45 〜暴走リムジン〜
昭和後期から平成初期にかけての日産は脂が乗り切った存在だった。
そして、この頃、日産は最高傑作というべき名車を次々と発売している。
R32スカイラインGT−R、Z32フェアレディZ、S13シルビア、P10プリメーラ、F31レパード。
どれもこれも10年経った今でも多くのファンの心を掴んで離さない名車たちだ。
そして、筆者としては名車とは言い難い部分もあるのだが、Y31&Y32セドリック&グロリア、初代シーマ、RNN14パルサーGTi−Rなど、個性の強いクルマを次々と発売する一方、ベーシックカーとしてマーチをフルモデルチェンジさせるなど、その勢いはまさに「飛ぶ鳥落とす」という言葉がふさわしかった。
その日産の快進撃を下支えしたのは、間違いなく「901運動」だ。
「’90年代を迎えるとき、我々のクルマは世界最高のハンドリングを有するクルマにしよう」というこの運動がなければ、GT−Rの復活もFFセダン最高のハンドリングと評されたプリメーラの存在はなかったに違いない。
また、この運動は一部のスポーツカーだけではなく、日産全車種が対象であったため、ファミリーセダンなどにもおいて、非常に高レベルな運動性能を与えられ、「技術の日産」にふさわしいクルマたちがここに勢揃いした稀に見る時代であったと言えよう。
そして、日産はこのとき、トヨタと時期を同じくして、新しいフラッグシップの開発を手掛けており、日産はこのフラッグシップに対しても世界最高のハンドリングを与えたのだ!
当時、次期プレジデントのパイロットモデルでもあり、また日産が求めたフラッグシップがこいつである。
それが、今回、紹介する世界最速の暴走リムジンことインフィニティQ45である。

日産インフィニティQ45
各社のフラッグシップというのは、それぞれ見てもらってもわかる通り、かなり保守的である。
各社、割合に大きなグリルが付いて、そんなに冒険的なデザインは施さない。
しかし、日産はインフィニティQ45で最高級車にグリルレスで挑んだ。
何でも日本の伝統文化である能のお面をイメージしたというそのフロントマスクはある意味では日産らしいデザインである。
さらに「901運動」の成果をここでも発揮し、2tを超えるクルマとは思えないほど素早いハンドリング性能を与えている。
エンジンは新開発の4.5L、V型8気筒、280馬力エンジン。
NAとは言え、もう少しCPUなどをスポーツ寄りに振れば、おそらく330馬力ぐらいは軽く絞り出したのではないだろうか。
まさに日産らしい最高級ドライバーズリムジンが出来上がったのだ。
筆者も2回ほどアルバイトしていた当時、ガソリンスタンドでの洗車の際に乗ったことがあるがその加速力はとても2tを超えるクルマとは思えないほどすさまじい。
「所詮、280馬力といっても2t超えているんだから・・・。」となめてかかった筆者は洗車機に危なく激突しそうになったことがあります。(笑)
そして、名前はアメリカが主戦場となることから、リサーチの結果、アメリカにおける日産の高級車ブランド、インフィニティに他社同様にアルファベット+排気量という形式をとり、インフィニティQ45として世界の高級車市場に打って出たのであった。
しかし、世界はそこまで求めていなかった。(爆)
時を同じくして生を受けたトヨタ・セルシオが世界の高級車市場の流れを変えたと言われるほど、名車としてトヨタの名前を売り、トヨタの高級車ブランド「レクサス」の名前を確固たるものにしたのに対して、インフィニティQ45は決して世界をリードすることなく、埋没していくのであった。(^^;)
結局、日産はその後も作り続けるが、インフィニティQ45のグリルバージョンとも言うべき、プレジデントJSが出るとますますその影を薄くしてしまい、今では当時の値段がうそのような捨て値で中古車が転がっているという有り様。
そのせいか、VIPカーのドレスアップ車としてはマツダ・センティアとともに確固たる地位を築くこととなったが。(^^;)
結果的に日産は世界の高級車市場の頑固さを甘く見ていたのだろうか。
また、高級車としては素晴らしい性能を与えられていたが、静粛性などでは一歩劣るところも否めず、そういった細かい積み重ねが現在のセルシオとの差になったのかも知れない。
しかし、日産もあきらめてはいない。
次期シーマで再度、世界の高級車市場へ殴りこみをかけようとしている。
日産もこのまま埋没するには惜しいメーカーだし、日産が元気でなければ面白くない。
特にモータースポーツでは理解が深いメーカーでもあるし、早い日産の復活を祈って締めたいと思う。